■名前/中城 蚕■一階甲組
■157cm
■カプ名/しなしろ
正史漫画
景色、人、その他なんでも――「美」を感じる画像を集めるのが好き。
フォルダ内の画像や動画を再現する電能「美の回顧録(メモリーレーン)」を持つ。
人数合わせのために甲乙戦には参加せず救護室で見守っていたが、化け垢となった亜科との戦いには参加する。


蚕の母親は過剰なまでのミニマリストで、いつものように「部屋を汚すな」「余計なものを買うな」と口にしていた。
蚕が自分の好きなものを集められるのはスマホの中だけ。
フォルダの中が可愛いものや美しいもので満たされていくのが楽しかった。
いつしかそれは、画像や動画の異常な収集癖へと変わった。
ある日蚕はSNSで、亜科の写真を見つける。
そのあまりの美しさに圧倒され、彼の写真や動画を全て保存するようになった。
亜科は「自分の肉体は美術品」だと思っており、裸体の写真を頻繁にSNSにアップしていたので何度も凍結していたが、蚕はそのたびに一番にフォローし直していた。
中学終わりのある日、電能が開眼し、蚕は高校から弥電学園に通うことになる。
一階甲組に配属され、本物の亜科と会った時、彼女は衝撃を受ける。
彼の姿はSNSに上がっていた美しい写真と同じだった。加工により得た美ではなかったのだ。
「あっ……亜科伴さんですよねっ!? 私、私っ……ずっと前からファンでっ……」
気付けば、蚕は感動のあまり泣いていた。言うまでもなく、甲組のメンバーの何人かは引いていたが。
それから蚕は亜科の信者――いや、一番の理解者となる。
亜科もそんな彼女の側にいるのは心地良く、二人は仲睦まじく過ごしていた。
しかし、亜科は蚕に美を認められるだけでは満足できなかった。
彼の目標は、全世界に自らの美を認めさせること。
加えて彼は、死者も出る任務の中で死ぬことや老いることへの恐怖を募らせていった。
ある日、寂しがり屋のKと接触した亜科は、老いず朽ちない「化け垢の国」に惹かれるようになる。
蚕だけは一緒に来てくれると信じ、彼女にこう語りかけた。
「老いない体を得られる世界があるとしたら、興味はないかい?」
しかし、蚕はこう回答する。
「あんまりないかな? 歳を重ねた亜科くんも絶対綺麗だし」
その言葉を聞いた瞬間、亜科は思った。
(彼女すら、僕を理解してくれなかった。ならば全員、殺すしかない)
かくして、亜科は化け垢に堕ちてしまった。
一乙メンバーだけでなく、ずっと一緒に戦ってきた一甲メンバーにも牙を剥いた。
温泉街を凍結して全員を閉じ込め、「皆殺しにする」と言い放ったのだ。
蚕はあの日の選択を後悔し、「私も亜科くんと一緒に行けばよかったのかな?」と涙したが、輪狩たち一甲のメンバーは「それは違う」と蚕を諭す。
蚕は失意の中、みんなと一緒に亜科と戦うことを決意するのだった。
仲間を自ら手放した亜科は、やがて敗れる。
化け垢は祓われると、アカウントも消えてしまうのだ。
彼がやってきたことは、全て無に帰してしまう――
しかし亜科が消える寸前、蚕は叫んだ。
「あなたの写真や動画はすべて保存してる! だから私が…これからも亜科くんの美を世界に布教するから…!」
亜科は安心したように笑い、かつての仲間たちにKの目的を教えると、その生涯を閉じたのだった…。
